三島の傑作

出張の新幹線で久々に三島由紀夫の「潮騒」を読んだ。何度読んでもこの本は素晴らしい。特に様々な「赤」を容易に、かつ鮮やかに想像できる美しい文体が好き。


燈台の灯、夕日、若者の火照った頬、焚火の炎、初江の赤いソックス・・・。ちょっとずつ色味の違う「赤」を細かい描写と周りの色とのコントラストで巧みに書き分けている。本を読む時は大抵その世界を思い描きながら読むが、ここまで鮮明に色のついた絵が浮かぶことは私にとって珍しい。


しかも「赤」ってのが、若い2人の燃えるような恋心を象徴しているようで、読む度によくできた本だと思うのである。

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)