乳と卵

芥川賞で話題のあの作品を読んでみた。読み始めの印象は、とにかく読み難い。関西弁の口語体で長いセンテンスにいらいらした。もし、イライラさせるところが狙いならすごいと思うが。


で、なんだかな〜と思って読み進めていくと、後半になって意外と面白くなってきた。特に親子で卵を潰し合うシーンは凄まじい光景が目に浮かび、引き込まれた。今までぎくしゃくしていた母娘が心を通わせるってのには、相当なエネルギーがいるもんだな。と。白身の形状とか、固まり始める様、殻の砕ける音、どれもリアルだった。


この本を手にとった時、女性の性を象徴するものとして「乳と卵」という言葉を使っているだけかと思ったけど、実際「豊胸手術」をめぐる話題から着火し、最終的に卵の潰し合いで終わるという展開が面白かった。思春期の女子の抱く「大人の女性になることへの不安な気持ち」は伝わってきた。


乳と卵

乳と卵