バベル

chelseagirl6132007-04-29


夕方の回に空きがあったので、ふらりと鑑賞。終演後、まず最初に感じたのはカンヌでパルムドールを受賞した「ある子供」を見終わった時とすごく似た感覚。人の弱さを見せつけられて、その切なさにぐうの音も出ない感じ。


見た人が倒れちゃったり、評判はあまりよろしくないようだが、私は見て良かったと思う。心の声が思いを伝えたい人に届かない「もどかしさ」が人を孤独へと誘う。で、やっぱり誰かに気付いて欲しくて、もがき苦悩する。こんな感じがよーく伝わってきた。


中でも言語や人種の違いから伝わらないのではなく、言葉自体を発することができないチエコが自分の眼や体全体で「誰かに愛されたい」と必死に自己表現をするシーンはインパクトがあった。でも、結局は言葉が通じても心が通じないとダメってことが言いたい映画だったんだろう。後から「バベルの塔」のエピソードを知って妙に納得した。


4カ国で起こる出来事の繋がりがイマイチ希薄だったこと、最終的に富裕層のみが救われたこと、「そこまで必要か?」って程えげつないシーンが多いこと等、不満は多々あるがそれを吹き飛ばす力強さのある映画だった。サンチャゴ役のガエル・ガルシア・ベルナル(写真)の男前っぷりと見事な演技にバンザイ。