野ばら

なんだかな〜(阿藤快風に)な一冊だった。宝塚娘役の千花と、いい家の血をひく萌という美しい容姿を持つ二人の主人公にあまり感情移入できなかったのが、この本を楽しめなかった大きな要因だろう。「私達ってずっと幸せでいられるような気がする」という自信満々な発言、わたしにゃ無理だ。


前述の設定に加え、年齢的にも私よりかなり若めだったし。更に恋する相手までも、歌舞伎役者と50歳過ぎの妻子持ちとあらば、私のような凡人が「わかる、わかるぅ〜」と頷ける要素は限りなく少ない。


強いて言えば、彼女達の天真爛漫な姿と、膨らむ恋心(含む幸せな妄想)に可愛らしさや、青春の甘酸っぱさを感じ、ちょっぴりおセンチな気分になれたこと位だろうか。あと宝塚役者の命名のセンスのよさ(こんな名前の役者いそ〜って感じ)、京都のお食事処の雰囲気の描写などはサスガ真理子先生だと思った。


野ばら (文春文庫)

野ばら (文春文庫)