さくらん

chelseagirl6132007-02-25


良くも悪くも、予想どおりの映画だった。まさに「あのお姉さん達が映画作ったらこんな風になるんだろうな」っていう映画が出来上がっていた。カッコ良くって、お洒落で、ちょっとロックな感じに。ただストーリーには若干物足りなさを感じた。原作の漫画を読んだことがないので、どの位端折られているのかは分からないが、これまた思ったとおりの展開で終わっていった。


しかし「映像美」という観点から見れば、ピカイチに素晴らしい映画だったと思う。風景もさることながら、着物、お庭、室内装飾、お花などなど…細かい所まで凝っていて、美しくかつ奇抜な色彩と洗練されたディテールに感動した。着物の柄には蜷川実花さん自らが撮った写真をプリントしてる物も何点かあったらしく、凝りっぷりに脱帽した。


あと忘れちゃいけないのが「金魚」。この映画では金魚がモチーフとして何度も登場する。ゆらゆらと揺れ動く美しい様やびいどろの中でしか生きれないということから花魁を象徴するものとして描かれていたようだが、この意味と共にこの「赤」が非常に効果的だったと思う。劇中では吉原の大門の一部が金魚の水槽になっていて(これもすごいセンス)、その水槽越しに見た吉原の街からスタートするシーンがある。暗闇の中に金魚、夜の街の灯、花魁の着物と微妙に風合いの違う「赤」が順を追って映し出されるのが何とも幻想的で「吉原」という特殊な世界にグッと引き込まれていった。他にも要所要所でいいアクセントになっていたと思う。


お話として心に残るものは少ないけど、見て良かったと思う。見終わった後にスッキリした爽快感が残ったし、ちょっと元気にもなった。今の自分にとってはプラスになる要素が多かったのかな。そんな映画だった。