ロープ

chelseagirl6132006-12-12


2夜連続の芝居。本日は野田地図@Bunkamuraコクーン。見終わってすぐに感じたのは、野田地図にしては分かりやすい芝居だった。そして、藤原竜也はいいねぇ。ということ。


一言で言うと「暴力」に対するアンチテーゼが主題。プロレスのリングを舞台に「ロープの中で起こっていること」が現実と距離を持ち始める辺りから話は進展していく。そのロープの中では暴力が正当化され、観衆は「ロープの中であること」だからと、生身のレスラー達が戦っていることを忘れ、次第に過激な戦いを求めるようになっていく。その辺の描き方から、映像を通して報道される「戦争」が現実のことなのに非現実的で安易に受け取られることへの危惧のようなものを感じた。


初めはただの「プロレス=八百長か?」みたいな浅い感じだったけど、ストーリーは徐々に核心に迫り、最後は正直しんどくなる位のメッセージ色の強い芝居だった。野田さんの作品にしては台詞は少なかったけど、一言一言の重みはいつも以上にあったように思う。


そんな台詞を言えるのも役者さんの力量あってのこと。今回のキャストは本当に素晴らしかった。以前「華のある役者」について、このブログで書いたことがあったが、藤原竜也はまさしくそれ。低くて色気のある声、可愛らしい中に影のある表情は見た人を間違いなく虜にするだろう。今後も彼の活躍に期待したい。