玉虫と十一の掌篇小説

掌篇小説って短編小説よりも短い小説のことをいうのね。初めて知ったわ。で、この本だが大半が不倫の話。もっと普通の恋愛の形はないのかね?と言いたくなる位、影があり、湿っぽい感じの話ばかりだった。「一炊の夢」という、邯鄲を大事に抱えるおじいさんの話はいい話だったが、読み終わった後にちょっとぐったりした。


しかし小池真理子の凄いところは、20ページ足らずの紙面でそれぞれの世界感をきっちりつくり出していること。十人十色ならず十一篇十一色といったところ。「不倫」という同じカテゴリの話も、似たり寄ったりになっていないのはサスガだと思う。その点では短時間で様々な景色が見れて非常に面白かった。

玉虫と十一の掌篇小説

玉虫と十一の掌篇小説