ゆれる

chelseagirl6132006-07-09


オダギリジョーが一段といい顔になった。かなりカッコ良かった。タイトル通り、心の「ゆれ」を微妙に表現している。クールな外見の内に潜んだ葛藤が、時に表情を僅かに曇らせたり、時に椅子を蹴り倒したりと、見え隠れする具合がとても良かった。


兄役の香川照之も素晴らしかった。当初は田舎で家業を継ぎ、親と共に静かに暮らしているという、誰からみても「いい奴」を演じるが、その中に確実に「嫉妬や不満」といった感情が存在していることをしっかり表現していた。幼馴染の智恵子を送って帰宅した弟を洗濯物を丁寧にたたみながら迎える姿は本当に怖かった。弟の話から、智恵子と弟の間に何かあったことを確信するが、何もなかったかのように、風呂などを気遣い、笑顔でおやすみという。この笑顔、そう作れるもんじゃないなと思った。


兄弟の間にある非常にどろどろとした感情がかなりリアルに感じられた映画だった。緊張感のあるシーンが多く、あっという間に終わった感じ。見終わった後、この映画を女性監督が撮ったと知り(しかも脚本も)、大変驚いた。それだけ、見ている人の心にズバッズバッと切り込んでくるような力強い映画だったということだ。私的には相当好きな映画となった。