1873年のピンボール

今月は悲しいかな、本が全然読めなかった。恐るべしW杯。2冊。だな・・・。しかも、うち1冊はこの薄い本だ。薄いといっても、中身は結構つまっていたんだけど。


で、この本で特筆すべき点はいろんなシーンで「匂い」を感じる本であるということ。雨の匂い、海の匂い、女の子の匂い、秋の匂い、鶏の匂い・・・。不思議と「○○の匂いがした。」って記述があると、多くの形容をなくして、その映像を浮かべることができるんだなと思った。意外な発見。きっと、その「匂い」が含まれる私の記憶の中の映像が瞬時に引っ張り出されるんだろうね。


そう言われてみれば、確実に記憶の片隅に「匂い」の記憶がある。入学式の時の花の匂いとか、海外のホテルの部屋の匂いとか、好きな人の香水の匂いとか、スイミングスクールのプールの匂いとか。何を喋った、何をしたとかより、鮮明に覚えている。そして次にその香りを嗅ぐと、その映像が頭に浮かび、懐かしいと直感する。この引っ張ってくる力(速さと正確さ)と残存率(忘れ難さ)がスゴイと思うのは私だけか?全く話が違う方向にそれてきたが、「匂い」ってある意味「言葉」より力があるものなんだとつくずく思った1冊だった。って、どんな1冊よ・・・。


1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)