青山娼館

インパクトのあるタイトルについ購入してしまった。「娼婦」って響きが嫌いじゃないというと、変に聞こえるかも知れないが、娼婦もののシャンソンとかフランス映画とかって名作が多い気がする。たとえどんな職業であろうと、強くて美しい女性の生き様はかっこいいなと思う。


で、今作は微妙。内容が薄いんだか濃いんだか。最近の小池真理子の作品は設定だけが変にエロい。前作は確か産婦人科医と不倫とかだった・・・。今作では主人公の奈月が私生児を事故で無くし、人生に疲れきった状態で行ったマッサージのおじさんの手のぬくもりに感激して娼婦になってしまう。動機が安直過ぎやしないか?と思った。


でも、かといって全体が軽すぎる訳ではなく、極限の精神状態を経験した人達の再生とか傷を抱えて生きる苦悩とか、ディープな部分はうまく書かれている。特に娼館のオーナーである「漆原塔子」の台詞や仕草の描写は素敵だった。


私の期待したパープルのベールがかかったような世界、今でいうところの「エロカッコいい」娼婦の世界観はこの作品には感じられなかったが、小池真理子独特の現実離れした世界は楽しめた。

青山娼館

青山娼館