ミュンヘン

ミュンヘンオリンピック開催中に、イスラエル選手がパレスチナゲリラによって殺された事件（実話）に基づいて製作された映画。私のように中東問題に疎い人間には、ちょっと入っていくのが大変だったが、大半は宗教や人種の問題というよりも１人の人間の心理を描いた作品だったので、そんなに拒否反応は出なかった。もちょっと予備知識をつけてみたら面白かっただろうなとは思う。

主人公アヴナーが「復讐することに意味があるのか」と気付き、イスラエルの正義との間で葛藤する場面に沢山コマを割いていたことから、スピルバーグ監督の平和に対するメッセージの強さを感じることができた。また、終盤では「恐怖心」との戦いがリアルに描かれていた。自分も寝る前に、ベッドとか電話とか点検してしまいそうになるほど怖さが伝わってきた。自分と家族以外、誰も信用できないという極限の精神状態を見続けるのには息苦しさを感じた。すごく切ない。見終わったあと、とにかく消耗していた。

最後に。この映画、食事をするシーンがたくさんあって、かなり印象的。また、食事に誘ったり、断ったりっていう会話が、結構大事なポイントになっていたりして。「最後の晩餐」とかけているのか･･･。考えすぎかな？