違った視線で…

数年前に源氏物語1000年祭みたいなことでブームになっており、もう一度ちゃんと読もうかと思っていたが、完全に乗り遅れた私。最近、また読みたいと思っていたところで興味深い本に出会った。


*1六条御息所目線で描かれているこの本は、源氏の美しさへの称賛と彼が愛した女性へ対する恨み節を中心に綴られています。実は私は彼女のキャラクターが結構好きで、学生時代は彼女についての論文を書いたほど。な、訳で女の嫉妬心って怖ぇーーと思いながらも、楽しくこの本を拝見しました。


また、生霊だけに、逢瀬の場面を空から見ているような芸能リポーター風の書きっぷりや、彼女のプライドを感じる「呪いたくはないのだけれど…」という葛藤を含んだ文章とか、今までとは違った目線で源氏物語が描かれていて、非常に面白かった。


それでいて歌の解釈や、場面の設定は本編に忠実なので、空想に飛躍し過ぎることなく、光源氏の優美な世界感は損なわれずに感じられた。林真理子先生のバランスの良さって、こういうとこなのかな。

六条御息所 源氏がたり 一、光の章

六条御息所 源氏がたり 一、光の章

*1:亡くなった前東宮の妻。博学で文才もありプライドが非常に高い女性。光源氏を愛するあまり、嫉妬心から生霊となり源氏の妻を呪い殺した話が有名。