おくりびと

chelseagirl6132008-09-23


評判に違わぬ、素晴らしい映画だった。ある意味、期待を裏切られた感はある。だって、もっと暗い映画だと思ってたんだもの。今作には適度な笑いが盛り込まれており、ラフな感じのところと、ずどーんと心に沁みるところのメリハリが効いていて、とっても良かった。


あとは形式美。本木雅弘の納棺の所作が本当に美しい。次第に自分の職業にプライドと「思い」を持つようになっていくという主人公の設定だが、充分過ぎる位そのことを裏付ける、説得力のある映像になっていたと思う。


印象的だったのは食べ物のシーン。登場人物達はふぐの白子、フライドチキンなどを音を立てて、ちょっとお行儀が悪い位の勢いでむしゃぶりつく。そんな生々しいシーンが実は「生」を象徴してるんじゃないかなと思った。で、それによって対照にある「死」というもの、ひいては納棺師の仕事というものの重みが増長されているような気がした。


見終わって、心がすっとした。