エンジェル

chelseagirl6132008-01-16


ぼくを葬る(おくる)」から2年。久々にフランソワ・オゾン監督の作品がやってきた。彼の作品というと、どうしても最後の「大どんでん返し(死後?)」的なものを期待してしまうのだが、そういった面から見ると今回は仕掛けが少なかったかもしれない。その点はやはり、ちょっと寂しかった。


しかし、「女性の姿を描く」ということに関しては、この監督は非常に長けている。変な意味じゃなくて、本当に女性が好きなんだろね。希望に満ち溢れていたり、幸せを手に入れたりする、いわゆる「いい時」だけでなく、絶望し堕落していく様もリアルにかつ美しく描けるのだから。


あと個人的に「嫌われ松子の一生」を思い出さずにはいられなかった。妙にかぶる部分と非常に対照的な部分があって、なんだか不思議な繋がりを感じてしまった。両作品とも壮絶な人生を生きた主人公の女性が最後に亡くなるのだが、2人とも間際に「生涯で本当に自分を愛してくれたのは1人だけ」と悟る。そして、その寂しいような嬉しいような事実にささやかな救いを見出して、旅立っていく。かなり切ないラストだが、私好みのシーンだった。