煩悩を掃く

じいさんの49日法要のため、田舎にあるお寺に出かけた。車の渋滞を懸念し、早めに家を出たところ、早く着き過ぎた。しばらく家族みんなでファミレスのドリンクバーで時間を潰すも、あと1時間もある。


どうにもこうにもやることがないと、ぼんやりしていたら、寺のお庭に竹箒を発見。これだっ!墓地まで続く道に積もった無数の落ち葉を無性に掃きたくなったのだ。母に「…という訳で、庭掃いて来るわ。」というと「しっかり煩悩掃いてらっしゃい。」と快諾。住職には内緒で、しばしお掃除タイムである。


庭に敷いてある玉砂利を動かさないように表層部の落ち葉だけを掃くのがなかなか難しく、1人でレレレのおじさんバリにいろんな方向に竹箒を動かしてみた。おーっ、いい感じ。ちょっとコツを掴むと作業が捗り、更に楽しくなってきた。「さくっさくっ」という枯葉が重なる音が静かな墓地に響き、何とも言えぬ秋の趣を感じながらの作業は気持ちがいい。


しかし、掃いても掃いても枯葉は無くならない。焼芋ができそうな位集めたのに、風が吹くとまた一面にひらひらと落ちてくる。自分の無力さを目の当たりにして、更に黙々と掃いていると、知らぬ間に頭の中のノイズが消えて、心が穏やかになっていた。母の言いつけどおり煩悩を掃ききれたかは微妙だが、なんかいい気分になれた。修行って、こういうことの積み重ねなのかなとちょっと思った。