座布団2枚

我が家には祖父がいる。確か80代後半だったと思うが、5月に脳梗塞を患ってからというもの、流石に弱ってきた。私のことなんかは完全に誰だか分かってない…。「どちらさんですか?」「他所の方が何でいるんですか?」「奥さん、どこかで会いましたか?」などと毎日言われている。まぁそれはいいとして、お風呂も一人では入れなくなってしまったし、布団での寝起きも大変になってきたので、介護認定をしてもらうことになった。介護用具のレンタルとか、デイサービスとか受けられたら多少家族の負担は減るからね。


で、先日、認定チェックをする人が来た日のこと。じいさんは、何故かやたら調子がいい。トイレまでトコトコ歩くし、いつもはぐうたらなのにその日に限って、機敏にくるっと寝返りをうつ。じいさんよ、張り切らんでいいところで、張り切るなよ。空気読もうよ…。(家族の叫び)


続いて記憶や言語のチェック。やはり、誕生日や住所は分からず、名前位しかうまく答えられない。よしよし(不謹慎)。そこで認定の人が話題を変えた。「このお家はおじいさんが建てたんですか?」と。

じいさん「いいえ、違います。」(きっと「息子が建てた」とか言うんだろうなと予想)

認定師「では、誰がこちらを建てたんですか?」

じいさん「大工に決まってるだろ!」

認定師「おじいさん、おもしろいですね。しっかりしてらっしゃる。座布団2枚です。(笑)」

一同、いろんな意味で笑うしかない。


これじゃ、ちゃんと動けるし、笑いもとれるし、ただの陽気なじいさんではないか…。絶対、介護認定してもらえない。と全員が諦めた瞬間であった。しばらくは家族で協力してやってくかな。