古き良き思い出

chelseagirl6132005-11-21


我が家では毎年恒例の「酉の市」。一家そろって、大森の神社にお参りに行く。熊手を買って「家内安全、商売繁盛」って火打石打ってもらうの。こういうのって、やっぱり商売人の家ならではなんだろうな。


小さい頃は11月になると「酉の市」に行くのを今か今かと楽しみにしていた。大好きな出店がたくさんでてるから。わたがし、お好み焼き、かるめやき。中でも幼い私を虜にした群を抜いてインパクトのあった店を紹介しよう。


それはバナナの叩き売りならぬ「おもちゃの叩き売り」。もはや出店の枠を超えた名店である。テントも何も無い路地の傍らにおもちゃの箱を積み上げて、アル中と思われる店主が熱燗片手に巧みな話術で片っ端からしょうもないおもちゃを売っていくのだ。
例えば昔よくあった電池仕掛けの犬の人形。「この子は電池で動きます。しつけがいいので吠えません。こんないい子を特別に10円から。」って、要は壊れていてキャンキャン言わなくなってるだけなんですが・・・。こんな感じでどっから集めて来たんだか分からない、やや不良品のおもちゃを次から次へと出してくる。本当に話が面白いのと売ってるもののクダラナさが家族全員にヒットし、毎年〆の一店としてこの店に通っていた。


私が最後に彼から買ったのは、「金のシャチホコ棒」7円也。宅八郎とかが持ってたマジックハンドの先が、シャチホコで口がパクパクするものを想像して頂ければよいかと。で、シャチホコの付け根の紐に団子がぶる下がってて、剣玉のようにしてシャチホコに団子をくわえさせるおもちゃ。書いていて、あまりのクダラナさに悲しくなってきた。しかも、金のシャチホコの「金」と団子の「玉」をかけて、凄い卑猥な売り文句を言ってたような気がする。何で挙手したんだろ、私・・・。


いつからあのオヤジがいなくなったのかは忘れてしまったが、居なくなった年は相当ショックだった。今思うと、オヤジのインパクトだけでなく、寒空の下で深夜12時頃までたくさんの人々が人垣を作って、笑ったり、お好み焼き食べたり、野次飛ばしたりしながら、セリをしてる雰囲気が好きだったのかもしれない。


こうして毎年この季節になるとあのオヤジの名演を思い出すのだった。